2009-11-23 16:16
これは、南極大陸に一歩も足を踏み入れないにも関わらず、南極探検の記録として、のちのちまで語り継がれることになった歴史的探検の記録だ。この南極探検の主人公であるシャクルトンについては、正直なところまったく知識がなかった。スコットとアムンゼンによる南極点到達レースは、そのスコットの悲劇的な死によって非常に有名で伝説にもなったが、同じイギリス人探検家として、シャクルトンはその陰に隠れた存在だったのだろう。
シャクルトンついてはまったく知識がなかったのだが、本書に収められた数点の写真に強く惹かれ読み始めた。イギリスの探検家サー・アーネスト・シャクルトンは、アムンゼンらによる南極点到達という偉業ののち、残された最後の探検ともいえる南極大陸横断に挑戦した。本書はその記録のすべてだ。しかし、冒頭で書いたとおり、この探検では南極大陸に一歩たりとも足を踏み入れることはなかった。ただ、だからこそこの探検が歴史に残るものになったに違いないのだが。
本書の魅力は、淡々と探検隊メンバーの日記などを引用しながら語られる探検の記録と、この探検に同行した写真家フランク・ハーレーの写真にある。文章は過度な演出を抑えてはいるが、物語が常に展開していくので飽きることなく読み進めることができる。淡々と静かだからこそ、事実というリアリティーが時に面白くもあり悲しく重くもある。善/悪と単純に判断できる安易なドキュメンタリーという名の物語に慣れすぎていると退屈に映るのかもしれないが。
加えて素晴らしいのはハーレーによる探検の記録写真だ。エンデュアランス号での生活や乗組員に動物などを写したものどれも素晴らしい。氷上での非現実的な生活風景も、崩壊する船も、可愛い子犬もどれも同じ一定の目線を感じる。お気に入りの一枚は、「コウテイペンギンのひなを抱えるハドソン」だ。可愛いーと思うと同時にこれは食料なのだと気づき、自分がいる場所と彼らがいた場所の物理的距離以上の隔たりを感じる。
この探検の記録は、アムンゼンのような成功の記録ではないし、スコットのような探検に失敗した悲劇のヒーローの物語でもない。シャクルトンという独特ではあるが優れたリーダーが、いかにしてしぶとくも生き延び、探検隊全員を無事に帰還させるかという、地味な記録である。血湧き肉躍る冒険譚ではないが、後半のサウス・ジョージア島横断での神々しい感動は、他ではなかなか味わうことのできない種類のものであると思う。奇跡という言葉はなんと安っぽいのだろう。
シャクルトンついてはまったく知識がなかったのだが、本書に収められた数点の写真に強く惹かれ読み始めた。イギリスの探検家サー・アーネスト・シャクルトンは、アムンゼンらによる南極点到達という偉業ののち、残された最後の探検ともいえる南極大陸横断に挑戦した。本書はその記録のすべてだ。しかし、冒頭で書いたとおり、この探検では南極大陸に一歩たりとも足を踏み入れることはなかった。ただ、だからこそこの探検が歴史に残るものになったに違いないのだが。
本書の魅力は、淡々と探検隊メンバーの日記などを引用しながら語られる探検の記録と、この探検に同行した写真家フランク・ハーレーの写真にある。文章は過度な演出を抑えてはいるが、物語が常に展開していくので飽きることなく読み進めることができる。淡々と静かだからこそ、事実というリアリティーが時に面白くもあり悲しく重くもある。善/悪と単純に判断できる安易なドキュメンタリーという名の物語に慣れすぎていると退屈に映るのかもしれないが。
加えて素晴らしいのはハーレーによる探検の記録写真だ。エンデュアランス号での生活や乗組員に動物などを写したものどれも素晴らしい。氷上での非現実的な生活風景も、崩壊する船も、可愛い子犬もどれも同じ一定の目線を感じる。お気に入りの一枚は、「コウテイペンギンのひなを抱えるハドソン」だ。可愛いーと思うと同時にこれは食料なのだと気づき、自分がいる場所と彼らがいた場所の物理的距離以上の隔たりを感じる。
この探検の記録は、アムンゼンのような成功の記録ではないし、スコットのような探検に失敗した悲劇のヒーローの物語でもない。シャクルトンという独特ではあるが優れたリーダーが、いかにしてしぶとくも生き延び、探検隊全員を無事に帰還させるかという、地味な記録である。血湧き肉躍る冒険譚ではないが、後半のサウス・ジョージア島横断での神々しい感動は、他ではなかなか味わうことのできない種類のものであると思う。奇跡という言葉はなんと安っぽいのだろう。





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