博物誌

インファナル・アフェアのリメイク作品。オリジナルの思想をまったく反映させず、キリスト教圏の映画としてリメイクされたのは、必然だったのかもしれない。細かい部分でのシーンがオリジナルそのままだったりするのは、リメイクするにあたっての契約事項があったのかもしれない。序盤が説明的なのはわかりやすくて良いのだが、そのせいか全体にテンポが無く、いつになったら盛り上がってくるのだろう？と思っているうちにエンドロールだったのは…。
スジを知っている故に、つまらなく、興奮することなく映画を見終えてしまったのか？と自問自答するも、主役の二人にまったく感情移入することができないこの映画は、どう考えても失敗作。シナリオが悪いのか、演出が悪いのか、演技力の問題か…リメイクものは、難しいという話で終わりたいのだが、この映画の最大のミステリーは、絶賛されたうえ、果てにはアカデミーで、作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞を受賞してしまったことにある。監督のスコセッシは自分の中の何か大切なものを捨てることで、栄光を手にしたのかもしれない。無間地獄に陥るのは監督自身？あと、もう少しだけ書くなら、劇中で「本当の自分を返してくれ」と主役の二人はしつこく叫ぶのだが、それがこの映画の、つまりはアメリカ的なものの限界に思える。

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インファナル・アフェア