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【手塚治虫】ユフラテの樹

手塚治虫による超能力マンガ。超能力をまともに正面から扱った手塚マンガは意外と少ない。

物語は3人の高校生が、生物研究のレポートを作るため、恵法場島を訪れるところから始まる。島の調査をすすめるうちに、動物たちに守られた不思議な木、「ユフラテの樹」を見つけ、その実を手に入れるところから、物語が動き始める。この実を食べることで、超能力が使えるようになると知った3人。このことを秘密とし、それぞれが実を保管することになったのだが…

さて、この実、ドルベスチンという物質を含み、その効果は「大脳皮質を興奮させ眠っている部分をめざめさせて、知能を発達させる」ということで、人類はこの実によって、文明を発達させたということらしい。さらに、物語の最後には、キリスト、マホメット、ブッダもこの実を食べた超能力者だという!なんとも、トンデモ本ライクなことが書いてあるわけだが、このテイスト嫌いじゃない。

実を食べないことを約束していた3人だったが、悩み多き高校生がそんな誓いを守れるわけもない。実を食べ、超能力を手に入れた3人は、欲望にひきづられて行くように恵法場島に集まるのだった。

高一コースという雑誌で連載していたこのマンガ。高校生の等身大の悩みを出すことで、理性と欲望の狭間での葛藤を描く、手塚の巧さが光ります。高校生の妄想と欲望を超能力として描き代弁する、連載誌に適したテーマの扱い方。構想もなしに連載をスタートさせたということだが、超能力を得て暴走していく部分から、最後の爽やかな終わり方まで、きれいにまとまった佳作。





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